デザフェス62出店記|前編:気づかないまま通り過ぎた二日間
2025年11月15日・16日、東京ビッグサイトで開催されたデザインフェスタ Vol.62。
7月の Vol.61 に続き、REGLASとして二度目の出店でした。
REGLASは、今年立ち上げたばかりのブランドである。
初出展となった Vol.61 では多くのお客さまにブースへ立ち寄っていただき、想像以上の反響をいただいた。
その成功体験を引き連れたまま迎えた今回の Vol.62。
表面上は落ち着いているつもりでも、内心では「今回もきっと行けるはずだ」と期待が膨らんでいた。
しかし、会場の環境、自分の判断、展示の組み立て方――いくつかの前提が少しずつ噛み合わなかった。
二日間の展示を終えて振り返ってみると、「今回のレイアウトは失敗だった」と感じる結果になった。
この記事では、その経緯をなるべくそのまま記録し、次につなげるための材料として残す。
前編となる本記事では、デザフェス62の二日間で実際に何が起きていたのかを整理する。

1|1日目は成功だった──そう思い込んでいた頃の話
午前8時頃にブースへ到着。
前回はSブースだったが、今回はMブース、しかも角地だった。
ブース配置が決まった時点で「2面通路から見えるなら、テーブルは斜めに置こう」と決めていた。
事前に主催者へレイアウトの可否も確認し、「ブース内なら問題なし」との回答を得ていたため、その方向で設営を進めた。

10時に開場。ほどなくして男性二人組が立ち寄り、カタログをめくったりショップカードを持ち帰ってくれた。
今回から新調したカタログとカードだったので、手に取っていただけたことが素直に嬉しかった。
その後もコンスタントにお客様が訪れ、説明や応対を続けているうちに時間が進んでいった。
会場では、カインズの部長さんから声をかけられる場面もあった。
什器としてカインズ製を使っていたため気づいていただけたようで、名刺交換や撮影をしていただいた。
重宝していることや、1月のHMJにも出店することなど、つい熱量高く話してしまった。
前回お世話になった出展者さんが挨拶に来てくれたり、海外の来場者が翻訳アプリで「写真を撮ってもいいか」と尋ねてくれたりと、終始にぎやかな時間が続いた。
カタログをじっくり読んでくれる方もおり、準備して良かったと思える瞬間がいくつもあった。

一方で黒箱は光演出のつもりだったが、今見るとここだけ穴のように見える
商品の箱詰めをしている際には、「箱が可愛い!」と言ってくださるお客様もいた。
以前、口紅の箱みたいと言われた記憶が蘇り、思わず嬉しくなった。
「お店はないんですか?」と聞かれる場面もあり、反応としては十分すぎるほど良い1日だった。
こうして1日目は終了。
この好調さがあったからこそ、わずかに感じていた違和感を深追いせず、無意識に押し流していたのだと思う。
2|2日目も順調に見えた──けれど、小さな違和感がずっとあった

2日目。今回のブースは季節柄の寒さもあり、ライトアップ的な演出を少し入れて展示していた。
しかし予想以上に会場の照明が明るく、光の効果がほとんど出なかった。
いくつかの演出を外し、レイアウトも少し組み直して開場を迎えることになった。
この日は、初日より来場者の流れが遅いように感じた。
それでも昼過ぎまでは一定のペースでお客様が立ち寄ってくださり、穏やかな時間が続いた。
しかしその後、2時間ほどほとんど誰もブースに来ない時間帯があった。
その時はただ「暇だな」ぐらいで、深く考えることはなかった。
15時を過ぎると、お客様が再びぽつぽつと戻ってきた。
この日は男性の購入が多かったように感じた。
ちょうどこの頃、レイアウトをさらに調整したり、声のかけ方を少し変えたりしていて、それらが作用したのかもしれない。

ただ、現場では気づかなかったが、下の黒い箱だけは浮いて見える。
気づけば、2日間の展示は無事に終了していた。
撤収作業を終え、エレベーターへ並ぶ。
その待ち時間に、2日間を思い返しながらChatGPTにメモを取りつつ振り返っていた。
「カタログは思っていた以上に読まれていたな」
「周りの出展者さんも良い方ばかりだった」
そんな明るい話をしながらも、一方で小さな引っかかりもあった。
光演出はいらなかったのではないか。
急遽出品したアイテムは、むしろノイズになっていたのではないか。
開催中に感じていた違和感が、少しずつ輪郭を持ちはじめていた。
とはいえ、終わった直後の達成感は大きかった。
深く考えるよりも、「また明日ゆっくり振り返ればいい」と思いながら、この日は静かに終わった。
こうしてデザフェス62は無事に幕を下ろした。
しかし翌日、翌々日と振り返りを重ねるうちに、
開催中の小さな違和感は、不安へと姿を変えていった。
そして最終的にたどり着いたのは、明らかな失敗という結論だった。
後編では、この違和感の正体と、
今回のズレがどこから始まっていたのかを言語化していきます。