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デザフェス62出店記|後編:思い違い。それでもまた出たくなる理由

デザフェス62出店記|後編:思い違い。それでもまた出たくなる理由

デザフェス62は、表向きには問題なく終わった。
活気もあり、会話も多く、終わった直後は「今回も楽しかったな」と素直に思っていた。

しかし、片付けをしながら少しずつ振り返っていくうちに、
胸の奥でくすぶっていたあの違和感が、はっきりとした輪郭を持ちはじめる。

──あれ、今回ってもしかして・・・失敗だったのでは?

そんな考えになるまで、そう時間はかからなかった。

後編では、冷静に整理して見えてきた「物理的なズレ」「心理的な焦り」、
そして、それでもデザフェスが辞められない理由について書いていきます。


前編では、2日間の動きと「小さな違和感」をまとめました。
まだ読んでいない方はこちらからどうぞ:
デザフェス62出店記|前編:気づかないまま通り過ぎた二日間
https://reglas.jp/blog/3607/


1.失敗の正体(物理編)

今回はブースレイアウトを大幅に変更し、商品構成もかなり入れ替えた。
そして「光で見せ場をつくる」ことを狙い、LEDによる光演出を導入した。
これが、今回の物理的な失敗の大きな要因となった。

東京ビッグサイトの西ホールは照明が非常に明るい。
結果として、光の縁を際立たせるため、枠以外を黒く塗った黒箱はただの黒い穴にしか見えず、ブース内に不自然な空白をつくり出してしまった。

その黒箱を2つ置き、さらにその周囲を中心にレイアウトを組んだことで、ブース全体のバランスが崩れ、視線の流れも途切れやすくなっていたのだと思う。

強い照明下では光の枠が生かされず。
黒箱はただの黒い空間として見えてしまった。

もう一つの要因は「高さが不足していた」こと。
前回はアクリルケースで高低差をつくり、結果的に色々と見てもらう設計だったが、今回はそれを完全に不採用。

前回のレイアウト。
いろいろ置きすぎてはいたけれど、アクリルケースで高さを出していた分、まだ見てもらえていた気がする。


光の演出がある前提だったためだが、結果的にはブース全体が平坦で埋もれやすい展示になってしまった。

結論として、今回の物理的な失敗は、
「光の環境を読み違えたまま、黒箱を中心にレイアウトを組んだこと」
ここに尽きると思う。

2.失敗の正体(心理編)

物理的な要因よりも大きかったのは、心理的なズレだったと思う。

冷静に数字だけ見れば、売上は前回と大きく変わらない。
それだけを見るなら、「失敗」と断じるほどの差ではなかったはずだ。

それなのに今回は、なぜこんなに落差を感じたのか。

思い返すと、デザフェス62に挑むまでにいろいろ積み重ねてきた。

・複数のイベントに参加し、場慣れしてきた

・新しい什器を導入し、手応えも感じていた

・パネルやカタログも新調し、仕上がりに満足していた

・SブースからMブースへサイズアップした(=投資額も増えた)

これだけ準備し、整えてきたからこそ、心のどこかで
「今回はもっと行けるはずだ」
と期待値をグッと高く置いていたのだと思う。

そして当日。
その期待に反して光演出は空振り、ブース全体の違和感は現場のテンションで見て見ぬふりをして、
終わってみれば「何かおかしかった」というモヤモヤだけが残った。

結果そのギャップが、自分の中で一気に膨らんでしまい、
「これは失敗だったんじゃないか」
という結論に直行してしまったのだと思う。

3.それでも得たもの

失敗だったと書いてきたけれど、
その一方で「今回だからこそ得られたもの」も間違いなくあった。

隣のブースの みちのぽ/暮らしにタイルの小さなときめきを さん。
丁寧に焼かれたタイルが本当に美しくて、思わずひとつ購入した。
その場で展示に組み込んでみると、ガラスが受ける光のニュアンスまで変わり、
展示全体の質感が一段引き上がったように感じた。
購入したタイルは、これからも長く使い続けることになると思う。

2日目の開場前に偶然通りかかった際に一目惚れした ボンちゃん@盆たれすと さん。
準備中のバタバタの中、頭の中でイメージが出来上がったので即購入。
シャーレという高さの無いシンプルな物に飾る物として。こちらも長く使い続ける。

そして、以前のイベントでお隣だった
うみはなアクセサリーショップ ROMIROSA さんのイヤーカフ。
今回はホールが違って直接ご挨拶はできなかったけれど、
以前購入したイヤーカフは今回のブースでもしっかりとした存在感。
こうしてつながりが続いていく感覚は、イベントを続ける醍醐味そのものだと思う。

そのほかにも、前回のデザフェスでご挨拶した出展者さんが立ち寄ってくれたり、
SNSでつながっている方に来ていただいたり、
購入後にその場でカタログをじっくり読んでくださるお客さまもいた。

海外の方がブースを写真撮影したり、
男性のお客さまが前回よりも増えていたりと、
小さな変化だけれど「世界が少しずつ広がっているのかな」と思える瞬間もあった。

失敗は確かにあった。
でも、その二日間にはそれと同じくらいの良い時間が確かにあった。
振り返ってみると、それが次へ進む気持ちを支えてくれている。

4.まとめ|今回の反省でわかったこと

今回の振り返りをまとめるとこんな感じになった。

デザフェスVol.62は、61の成功体験を信じ切ったまま走り出した気づかない奢りがあった。

あれもこれもと試した結果、黒箱の光演出をはじめ、展示が迷走してしまった。

これからは原点に立ち戻り、ガラスそのものの美しさを真正面から伝える。

思えば初めたころは作品たちをどうアピールしたらいいのかなんてわからなかった。

それでも「きれい」「かわいい」「なんだろう?」と立ち寄ってくれる方たちはたくさんいた。 それなのに今回は勝手に盛り上がり、余計な演出などで素の良さを潰してしまっていた。

これからは改めてそのものの良さを引き出して、さらに多くの方に手に取ってもらえるよう考えるいい機会になった。

ブランド初年度の最後の大型イベントでこれ以上ない学びを得られたと思います。


REGLASでは出店したイベントのレポートをブログに残しています。
ご興味がある方はぜひチェックしてみてください。

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