薬瓶がぴたりと閉まる理由|REGLASの“すり合わせ”という技術
ぴたっと閉まる、その理由。薬瓶の“すり合わせ”とは?
REGLASの薬瓶や有帽瓶には、「すり合わせ」という技術が使われています。
フタと瓶、それぞれをひとつひとつ削り、“ぴたっ”と閉まるように作られているのです。
……とはいえ、「すり合わせって何?」「どうやっているの?」という声も、きっとあるはず。
今回は、そんな“すり合わせ”について、昔と今のやり方の違いや写真を交えて、少しだけ詳しくご紹介してみたいと思います。
※今回は、薬瓶を例にご紹介していきます。

すり合わせって、どんな技術?
辞書には、こんなふうに紹介されています。
「すり合わせ」とは、「精密平面を得るために、加工面を摺り合わせて仕上げる作業」(デジタル大辞泉より)
REGLASで行っているガラス加工も、まさにこの言葉の通り。
瓶とフタ、それぞれを少しずつ削りながら、ぴったりと噛み合うように仕上げていきます。
下の写真は、すり合わせを行う前と後の状態です。
加工前は、フタがまったく入らない状態。
そこから手をかけて、皆さんの手元に届く状態に整えていきます。

昔と今で、どう違う?
現在販売している「角フタ薬瓶」は、約50年前に製造されたデッドストック品です。

この当時は、現在のような専用の治具がなく、職人が手作業で少しずつ削ってすり合わせを行っていました。
瓶本体を回転させ、フタに水を含ませた研磨用の砂を加えながら、手の感覚で微調整していく方法です。
この方法は、現在でもアルコールランプのフタのすり合わせに使われています。

ただし、手で行うぶんわずかなズレが生まれやすく、どうしても加工が届かない部分が出てきます。
一方で、現在の加工には、一般のボール盤を改造した専用機械を使っています。

中心軸に取り付けた工業用のダイヤモンドバーを回転させながら、瓶の中を削っていく方式です。
治具により一定の力で加工できるため、より高精度なすり合わせが実現します。
拡大して見てみよう
こちらはフタの加工前後の比較写真です。

(両方とも底面は加工済)
一見すると似た形状でも、実は細かく加工が施されています。
フタは、底面と周囲の2箇所に。
本体も、内側の接触面を丁寧に仕上げています。
そのため、すり合わせ部分にはわずかに曇ったような質感が残ります。
その“うっすらとした曇り”こそが、ぴたっと閉まる秘密なのです。
お手入れのポイント
密閉性が高いのは魅力ですが、ときどき「固く閉まって開かない」というご相談もいただきます。
その多くは、「濡れた状態でフタをした」ことが原因です。
すり合わせ部分に水分が残っていると、吸着するようにフタが閉まってしまうのです。
また、フタをネジのように回しながら閉めると、必要以上に固くなることがあります。
開閉の際は、まっすぐ軽く押すようにしてご使用ください。
さいごに
毎日の中で、何気なく開けて、閉める。
そんなささやかな動作の中に、心地よさがあるとしたら――
きっとそれは、職人の手仕事がつくり出しているもの。
目立たない部分ではありますが、どうぞ「すり合わせ」にも、そっと目を向けてみてください。
REGLASのガラス瓶は、そんな静かな技術を宿しています。

ご紹介した薬瓶は、REGLASのオンラインショップにてご覧いただけます。
色や形、すり合わせの違いなど、ぜひゆっくり見比べてみてください。
▶各種薬瓶の商品ページはこちら
ガラスの表情は、形や仕上げによっても変わります。
「削る」という手仕事は、REGLASのもうひとつの定番、ダッペングラスにも活かされています。
手ざわりの違い、ほんの少しのツヤの違い。
同じかたちでも、どこか違う――
そんな“ふたつのダッペン”のことを、こちらでご紹介しています。